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データで見る 杉田選手グランドスラム初勝利

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 ウィンブルドン前哨戦のアンタルヤオープンで初優勝を果たした杉田選手(以下、杉田と表記)は、その自信と勢いをもってウィンブルドンで見事グランドスラム初勝利をしました。  相手はイギリスのクライン(世界232位)で、杉田から見て7-6/6-3/6-0のストレート勝ちでした。

 今回は第1セットを中心に試合の分析をしていきます。ポイントの推移を見ると、第1セットはかなり接戦状態だったことが分かります。杉田とクラインのポイントが頻繁に入れ替わっています。TPW%(得点率)でも両者互角の50%です。GP(ゲームパワー)でも両者全く互角の3.69です。では、何に差があったのでしょうか。

 データで見るとSCR%(実質支配率)の差がありました。杉田 14%に対してクライン 8%でした。両者の差は6%でしたが、M評価での判定は杉田がM2判定で杉田が「優勢」(*この試合の有意差は1.3%)だったという評価でした。SCR%は得点からエラーを引いて出てくる「有効ポイント」のTPP(総点数)に占める割合です。故にTPW%で互角なのに、SCR%に差があるということはEP%(エラー率)に差があったということになります。具体的にはEP%は杉田35%-クライン41%です。EP%の内訳でいうとFE%(フォーストエラー率)に差がありました。FE%で杉田25%-クライン32%。両者TPW%では互角でしたが、EP率、特にFE率で差が出てしまったことで、クラインはSCR%を減少させてしまいました。

 この差はポイントパフォーマンスにも表れています。「EP対TPW」(1つのエラーからどれだけの得点を生み出せるかという効率)では、杉田1.41-クライン1.2でした。これは大きさではありません。しかし、タイブレークではこの様な僅かな差も如実に表れます。杉田がタイブレークを奪えたのは、僅かであっても「EP対TPW」という得点効率で上回っていたからでしょう。  静的な視点で見るとSCR%の差があり杉田有利に第1セットが進んでいたように見えますが、動的な視点で見ると事情が異なります。第1セットにおいて杉田は自分のサービスをキープするのに非常に苦労していたことが分かります。特に、第6、8、10ゲームはデュースにもつれており、第6ゲームは14ポイント、第8ゲームは12ポイントのやり取りがありました。この2つのサービスゲームだけで4つもブレークポイントを握られましたがいずれも杉田はしのぎ切りました。流れをクラインにもっていかれるかもしれない大変危険な場面でした。

 杉田のサービスゲームのタフさはGP指数のSGP(サービスゲームパワー)を見れば一目瞭然です。杉田6-クライン4です。GP指数は4に近づけは近づくほどゲームを安定して獲得できていることを示します。逆に4を超えるとゲームを獲得するのに過剰なエネルギーを消耗しているということを示します。4を100%としてSGP%を示すと杉田150%-クライン100%です。クラインは極めて安定してサービスゲームをキープしていましたが、杉田は1.5倍ものエネルギーを費やして何とかキープできていたという状態でした。  第1セットのタイブレークを杉田が制したことにより、第2セットから流れが変わってきます。ポイントの推移で見ると、第2セット以降は一貫して杉田がクラインをポイントで上回っています。その意味でも第1セットのタイブレークがこの試合の大きな別れ目だったことが分かります。この試合の第1セットの重要さを杉田自身も語っています。「第1セットを取られていたら、フィジカル的にはかなりきつかった。第1セットが終わってかなり余裕が出た」。

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試合分析
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テニスを愛しています。
テニスの試合をスタッツ分析するのが趣味です。
新しいスタッツ分析指標、SCR%(実質支配率)とGP(ゲームパワー)、M評価を発案しました。
*SCR%はSMCIの改訂版です。
現在はTSA(テニススタッツ分析)の基本7表を用いて分析しています。
*TSA基本7表とは「得点内訳表」「失点内訳表」「得失点表」「自ポイント内訳表」「ゲームパワー表」「アタック評価」「ポイントパフォーマンス」のこと
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TPW 総得点、獲得ポイント
* TPWは【TPW=W+OUE+OFE】
W ウィナー
OUE 相手のアンフォーストエラー
OFE 相手のフォーストエラー
OW 相手のウィナー
EP エラー(アンフォーストエラー、フォーストエラーの区別なし)
OEP 相手のエラー
UE アンフォーストエラー
FE フォーストエラー、強いられたエラー
TEP 総エラー、両選手のEPの合計
SCR 実質支配率 有効ポイントの数も表している
*SCRは【TPW-EP=SCR(有効ポイント)】
AP 積極的な攻撃、【AP=W+OFE】
AM アグレッシブマージン、精度と質の高いポイント【AM=AP-UE】
OwnPoints(Owp) 自分由来のポイント
*OwnPointsは【OwP=W+UE+FE】
UE対AP 1つのUEからどれぐらいのAPが生まれるかの効率 積極性効率
EP対TPW 1つのEPからどれぐらいのTPWが生まれるかの効率 得点効率
GP ゲームパワー、ゲームを獲得する力、その安定性
SGP サービスゲームパワー
RGP リターンゲームパワー
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