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データで見る 杉田選手アンタルヤ初優勝の快挙!

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 杉田祐一選手(以下、杉田と表記)がトルコのアンタルヤオープン(ATP250)でATPツアー初優勝を成し遂げました。これは日本人男子として松岡修造、錦織圭に続いて3人目のATPワールドツアーレベルでの優勝という快挙です。  この日のアンタルヤは40℃を超える酷暑でした。準決勝の杉田VSバグダティスでは暑さの余り熱中症でバグダティスが棄権するというハプニングも起こりました。  杉田の決勝の相手はマナリノ(フランス、62位)で、スコアは杉田からみて6-1/7-6での勝利でした。これにより世界ランキングも45位以内に入ることが確実となり、松岡修造越えを果たすことになります。  以下、スタッツです。

 試合全体でGP(ゲームパワー)を見ると杉田3.63でマナリノ3.05です。ゲームを獲得する力が杉田の方が圧倒的に安定していたということです。特に1セット目は杉田が圧倒していました。しかし、2セット目だけ見れば接戦でした。タイブレークにもつれ、GPでも僅かですがマナリノの方が上回っていました。故に、タイブレークを制することができなければ、流れが変わっていた可能性もあります。

 獲得ポイントの推移とGPの推移を見ていきます。注目すべきは、第2セット第6-7ゲームと第2セット第11-12ゲームです。これらは両者のポイントが接近し、離れて行った場面です。杉田の側から見れば、流れが変わる可能性があった危険な場面でした。  第2セット第6ゲームは杉田がブレークされた場面です。しかもブレークのされ方ですが、デュースまで粘ることができずにゲームを奪われています。この様な事態の時はすぐさまブレークバックをしなければなりません。それができなければゲームの流れ的にもGP的にも不利に陥ります。しかし、杉田は大事な場面で踏み止まることができました。すぐさまブレークバックに成功します。しかも、第2セット第7ゲームは計10ポイントのやり取りがあったゲームでした。杉田が0-40で大きなチャンスを掴みましたが、マナリノも40-40と粘りデュースにもつれ込ませます。しかし、そこから杉田も粘り最後はゲームを取り切りブレークバックに成功します。  第2セット第11ゲームはマナリノがサービスキープした場面です。このゲームは杉田が1ポイントしか奪えませんでした。第2セットの終盤という状況です。マナリノが第2セット第12ゲームをブレークできればセットを奪えます。杉田は次の自分のサービスにプレッシャーがかかります。しかし、杉田は見事ラブゲームでキープに成功します。これで流れを幾分自分に引き寄せて、タイブレークに突入することができました。  最終的にTPW%(得点率)で見ると杉田54%―マナリノ45%で両者9%の差があり、M評価で測定すると有意差を超えていました(*この試合の有意差は5.9%だった)。また、GP指数で見ると、両者のRGP(リターンゲームパワー)に大きな差がありました。杉田が3.11に対してマナリノは2.5。これは杉田がリターンゲームでデュースに毎回もつれさせる力があったということです。それに対してマナリノはデュースにもつれさせることができるか微妙な数値です。つまり、RGPが高いということはブレークする確率が高くなるということです。その意味でこの試合のキーはリターンゲームにあったと言えるでしょう。  環境的にも気温が40℃以上と非常に高く、湿度も高いという過酷なものでした。しかし、杉田自身が「日本では夏はここと同じぐらいとても湿度が高いのです。このコンディションは自分にとって有利でした」とコメントしている様に過酷ながらもやや日本人である杉田の方が環境に適応できたのでしょう。  杉田のコメントを取り上げます。「プロ11年目にして心技体が良い形で固まりつつある」「できればグランドスラムでのシード権(世界ランク32位)を狙いたいですね。そのためにもう少し頑張る必要があります。でも、今は自信があります。そこを本気で狙いたいですね」。アンタルヤオープンでの優勝は杉田にとって本当に大きな自信になったはずです。そして自信をもつことは更に上位を目指す上で非常に重要な要素です。例えばですが世界ランク80位の選手と30位の選手の最大の差は何でしょうか?技術的な差は殆どないでしょう。差があるとすれば自信というメンタリティーの部分が大きいといえます。  杉田はこの大会で自信というメンタリティーを手に入れたと思います。つまり、更なる上位を目指すために必要なピースを手に入れました。しかし、このメンタリティーをどう生かすかは選手自身にかかっています。またフィジカルの問題は常に選手を悩ませます。単純にとんとん拍子にランキングを上げることは限られた選手を除いて難しいことです。杉田選手の今後の活躍を見守りたいと思います。

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テニスの試合をスタッツ分析するのが趣味です。
新しいスタッツ分析指標、SCR%(実質支配率)とGP(ゲームパワー)、M評価を発案しました。
*SCR%はSMCIの改訂版です。
現在はTSA(テニススタッツ分析)の基本7表を用いて分析しています。
*TSA基本7表とは「得点内訳表」「失点内訳表」「得失点表」「自ポイント内訳表」「ゲームパワー表」「アタック評価」「ポイントパフォーマンス」のこと
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TPW 総得点、獲得ポイント
* TPWは【TPW=W+OUE+OFE】
W ウィナー
OUE 相手のアンフォーストエラー
OFE 相手のフォーストエラー
OW 相手のウィナー
EP エラー(アンフォーストエラー、フォーストエラーの区別なし)
OEP 相手のエラー
UE アンフォーストエラー
FE フォーストエラー、強いられたエラー
TEP 総エラー、両選手のEPの合計
SCR 実質支配率 有効ポイントの数も表している
*SCRは【TPW-EP=SCR(有効ポイント)】
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AM アグレッシブマージン、精度と質の高いポイント【AM=AP-UE】
OwnPoints(Owp) 自分由来のポイント
*OwnPointsは【OwP=W+UE+FE】
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