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アンディ・マレーのロックンロール〜テニス全豪オープン2012〜

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 ぎゅい〜〜〜ん、と、ギター(おそらくレスポール)が唸りを上げて鳴った気がした。さあ、始まるぜ、とばかりに。男子シングルス準決勝、ジョコビッチ対マレー。ファイナルセット、ジョコビッチが5-3でリード。サーヴィング・フォー・ザ・マッチとなり、勝負あったかと誰もが思った第9ゲーム。完全に追いつめられたマレーが鬼神の如くまさかのブレイクに成功した瞬間。

 ぎりぎりに張りつめた、冷徹なリフのようなラリー。その果てのシャウト。激しくて、でも美しいメロディにも似た1ポイント。エンディングに向けて加速するビート。手が届いた、と一瞬思う。でもその手はむなしく空を切る。そして訪れるカットアウト。

 6-3、2-6、6-7、6-1、7-5。試合時間4時間50分。前夜ひと足先に決勝進出を決めたナダルの相手はジョコビッチとなった。私は技術的なことはとんと疎いので、最終的にどこに差があったかと聞かれてもわからない。たぶんジョコビッチの方が、絹のスカーフいちまいぶんくらい強かったのだろう。そして、マレーはロックだった。燃え尽きるからロックなのではない。叫んでも叫んでも燃え残るものを、ロックと呼ぶ。今夜、ロッド・レイバー・アリーナに、アンディ・マレーのロックンロールが鳴り響いた。勝ちとか負けではなく、私はそういうものを目撃した。

 ああそうか、ジョン・レノンやジミー・ペイジの国の人だもんね、とあとで思った(笑)。このままずっと見ていたいと思った試合は久しぶりだった。このラリーが永遠に続けと、試合中何度も願った。ジョコビッチ対ナダルという胸躍る決勝のカードと、マレーの燃え残った夢に、今夜は乾杯です。ありがとう、おつかれさまでした。



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テニス
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全豪オープン
アンディー・マレー

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篠原美也子。シンガーソングライターであり、1児の母であり、感傷的スポーツウォッチャー。佐瀬稔氏、藤島大氏を師と仰ぎ、HPにもスポーツに関するエッセイ多数。宇都宮徹壱氏主筆のメールマガジン”徹マガ”にて、月1コラムを連載中。15年秋、初の書籍となるスポーツエッセイ集「スポーツに恋して〜感傷的ウォッチャーの雑食観戦記」(花伝社)を上梓。
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