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李、メルボルン、そしてナダル〜テニス全豪オープン2011〜

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 全豪オープンテニス女子シングルス決勝。アジア人として初めてグランドスラムのファイナリストとなった中国の李娜。対するはママになって復帰後ますます強くなった元ナンバーワン、クライシュテルス。フルセットの末、クライシュテルスが逆転で初の全豪チャンピオンに輝いたが、第1セットを李が取った時は、正直このまま行くかと思った。あの強烈なフォア。負けん気の強さがそのまま乗り移ったようなショット。おお、キムが押されている、とビビりつつ、これはもしかしてもしかしてしまうかもと胸がざわざわした。

 くるしい展開となった1セット目から2セット目にかけて、切れず、ジャッジに不平を言わず、感情的にならず、クライシュテルスは立派だった。ナダルを彷彿とさせるような粘りで、李の厳しいショットをひたすら追い、拾い、追い込まれても最後まであきらめず、結果的にはその姿勢が李の焦りを呼び、逆転につながったように思う。エナンとともに「ベルギー旋風」を巻き起こした01年から10年。これが最後のメルボルンかもという話もあり、期するところもあったのだろう。この日のクライシュテルスは、存在自体にどこか胸を打つものがあった。心から心から祝福を。そして、そのクライシュテルスを一時は追いつめ、真っ向から打ち合い、一歩も引くことのなかった負けず嫌いの李娜にも盛大な拍手を。胸のタトゥは伊達じゃない。アジア人初のグランドスラムタイトルはもうそんなに遠い未来ではないと、あの試合を見た誰もが確信したと思う。願わくば、日本人選手も続いて欲しい!

 男子はストレートでジョコビッチが3年ぶりの優勝。とにかくジョコビッチが良かったというのは事実。休みが一日すくなかったマレーが疲れを引きずっていたという話もある。でもまあ例によってマレーがわあわあ騒いでひいひい怒って自滅したといういつものパターン(笑)。別にチャンピオンがみんな立派でなくてもいい。強い人がみんなフェデラーのように紳士だったり、ナダルのように行儀がいい必要はない。私は、年中ラケットを叩き折ってたサフィンも、癇癪玉みたいだったイワニセビッチも大好きだった。ただ彼らは、そうでありながら、しっかりタイトルも取った。ジョコビッチもどちらかと言えば感情に足を取られるタイプだったけど、最近はコントロールが上手になったのかな。結果を出してきて、自信を深めてきたということもあるかな。でも、みんな落ち着いちゃったらつまらない!どうかマレーは、わあわあ騒いでひいひい怒ったまんまでグランドスラム取って欲しい、とのんきなファンは勝手なこと考える。

 勝手なこと、もひとつ。  準々決勝でフェレーロにいいところなく敗れたナダル。開始早々にハムストリングを傷めたらしい。走って拾う、体に負担のかかるディフェンシヴなプレースタイルだから、続けていればどうしてもケガとの闘いになる。そろそろオフェンシヴなスタイルにシフトして、少しでも長く、と思う。でも、ありえないスピードでコート中を駆け回り、ありえないリターンで世界中の度肝を抜いてナンバーワンになった、それこそがナダルで、だから好きだ、とも思う。

 ファンはいつも勝手で、しかも欲が深い。ともあれ今年もテニスが始まった。みんな元気で、どうか元気で。



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テニス
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全豪オープン

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李、メルボルン、そしてナダル〜テニス全豪オープン2011〜

本当に男子テニスのレベルは高くなりました。皆の強打は本当にすごい。それを如何に守れるかで今のランキングが決まっているような気がします。その能力のもっとも高いナダルがNo.1なのでしょう。その守備能力が彼らの選手生命を縮めるのかもしれません。但し、フェデラーを除いて。彼の才能が如何に突出しているか、そのテニススタイルが他の誰とも異なることでよくわかります。もしかしたら今のトップ4で最後までタイトルを取れるのは結局フェデラーなのかもしれませんね。彼のテニスを見られる幸せを感じつつ、その日が長く続くことを願っています。

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篠原美也子。シンガーソングライターであり、1児の母であり、感傷的スポーツウォッチャー。佐瀬稔氏、藤島大氏を師と仰ぎ、HPにもスポーツに関するエッセイ多数。宇都宮徹壱氏主筆のメールマガジン”徹マガ”にて、月1コラムを連載中。15年秋、初の書籍となるスポーツエッセイ集「スポーツに恋して〜感傷的ウォッチャーの雑食観戦記」(花伝社)を上梓。
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