テレビで楽しむプロ野球

意識する相手~武田勝投手&阿部選手、ホールトン投手&陽選手

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 1戦目、2回裏、武田勝投手は先頭打者の村田選手をピッチャーゴロに抑えます。次に打席に入ったのは阿部選手。アナウンサーは2人をこう紹介しました。
「立正大学の武田勝、中央大学の阿部慎之助。東都リーグで大学時代、対戦の経験もあるこの2人」
 ここで、テロップも出ます。高校、大学時代から対戦、同期対戦。99年東都大学リーグ1、2部入れ替え戦、武田勝が阿部にホームランを浴びる、と。2ボール、1ストライクからの4球目、キャッチャーはアウトローにミットを構えましたが、武田投手の投じた球はインハイへ。この球を阿部選手はライトスタンドへ叩き込みます。同点弾。篠塚氏、水野氏、アナウンサーの間でこんな会話がありました。
篠塚「もう完璧ですね。ああいう失投というか、ああいうボールをきっちりとらえていかないと、やっぱり(武田投手を)崩すのはキツいですよね」
アナウンサー「武田勝にしては失投。少し高かったですね」
水野「初球も3球目もキャッチャーの構えたところとは違って、今のところ(アウトロー=高橋由伸選手はこの球を打ち1ゴロに倒れます)に構えたのが、高めにいったんですよ。
 だから、私の勝手な推測なんですけど、高校時代から負けたくないライバルに対して、ちょっと力が入ってムキになったかなっていう。そういう印象を受けましたよね」
篠塚「そうですね、最初の投球から、ちょっと力入って」
水野「他のバッターとは明らかに、こう。投げミスになるっていうのは、『このバッターだけには打たれたくない』っていう力っていうのは、リキみっていうのは、(原因として)あるんですね」
 1ゴロの高橋由伸選手に続いて、次の打者の谷選手もショートゴロ。武田投手は持ち味を出し、3つのアウトをゴロで奪いました。
 4回に再び阿部選手の打席が回ってきたところで、アナウンサーは2人のリポートを伝えます。
「高校は阿部が安田学園、武田勝が関東一高。大学は阿部が……(略)……大学。試合前に武田勝が『阿部さんとの対決は意識します』と話してました。いっぽうの阿部も『高校時代にやられているのでプロではやり返したい』と話していました」
 やはり、高校時代、大学時代という過去の対決が、10年以上の歳月を経た今となっても互いを意識させていたのです。プロ野球選手のインタビューを見たり読んだりすると驚かされることがよくありますが(選手にとっては当たり前のことなのでしょうが)、野球選手の過去の対決に対する記憶力は抜群。球種や配球もこと細かに語ることのできる選手がほとんどではないでしょうか。アマチュア時代にまでさかのぼった過去の対決時の記憶もしっかりと選手の頭の中には残っているのです。ですから、それらの中の、いつの場面、どんな状況の記憶を胸に、今グラウンドで対峙しているのか。過去の対戦結果や対戦局面に思いを馳せ、水野氏のように推測しつつ観戦するという視点を持つのも、また一興なのでは。
 このような対決の球歴は、もちろん選手名鑑には出ていません。インターネットで検索しながら見るのは一期一会のロス。ですから、過去の対決を解説者たちが話題にして、タイミングよくテロップまで表示してくれるというのは、テレビ中継ならではの付加価値。もちろん、対戦データの数字テロップもわるくはありません。が、過去の対決として選手の中に残っているであろう記憶のテロップ表示は、選手の気持ちをより深く辿ることができ、テレビ観戦者に新たなツボを指南してくれるといえます。

 翌日の試合、ホールトン投手と陽選手の対決場面でのこと。昨年は11打数5安打とホールトン選手は陽選手によく打たれているというデータが紹介されました。ホールトン投手にとって陽選手は相性のわるいバッターだといえます。それをふまえて桑田氏が語ります。
「このまえのボールも、インサイド低めの、ストライクと言われてもおかしくないボールなんですけど、やっぱり(ピッチャーに対して)相性のいいバッターが打席に立つと、ボールっていうコールになってしまうんですね。
 これはね、僕もちょっと分析してみたいなと思うぐらいですね、不思議なもんで。たとえば、ピッチャーが(=ピッチャーにとって)相性がいいバッターだと、どこ投げてもアウトとれるんですけど、相性がわるいバッターだとどこ投げても打たれるし、バット折れてもヒットになるっていうね。いいところ(=きわどいコース)は全部ボールって言われるというね。
 ホント、何か『目に見えないもの』があるんですよね」
 この打席で陽選手はセンター前にヒットを打ち、桑田氏は言います。
「さすが、相性いいですね」
 『目に見えないもの』は、もしかしたら、昨年11打数5安打というデータからは読み取れない過去の対決によるものなのではないでしょうか。武田勝投手が大学時代の1、2部入れ替え戦で阿部選手にホームランを浴びた、というほど客観的に決定的な対決とは限りません。完璧だと思った球をヒットされたとか、気に入らない見逃され方やバットの出し方をされたとか、そういったホールトン投手にしか分からないような個人的な記憶が、実は影響しているのかもしれません。

 ところで、高校時代のライバル視がリキみに繋がったのでは、と推測した水野氏。池田高校の3年生エースとしてPL学園と対戦した時、彼は1年生の清原選手から3三振を奪いました。いっぽう桑田選手には甲子園で初めてとなる本塁打を浴びてしまいます。先日の西武ドームでの始球式で、水野氏は清原氏から空振りの三振を奪いました。これは30年前の記憶が清原氏をいまだにリキませたからだと考えるのもわるくありません。

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G×Fs @東京ドーム 5/27 日テレ→BS日テレ 上重アナ→田辺アナ、解説:篠塚和典、水野雄仁 5/28 BS日テレ→日テレ 平川アナ→河村アナ、解説:桑田真澄、立浪和義




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